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カスタマーレビュー
おすすめ度:
調査に基づいた大胆な推論がすごい
(2008-10-31)
田中角栄の人脈、関連会社、金の流れを徹底的に調査して書き上げた「田中角栄研究-その金脈と人脈」他、これに続けて著者が雑誌に発表したものと著者自身による解説が収められている。
立花隆は取材チームの報告をもとに隠された事実を推論し、更なる調査の指示を出していく。20名のチームとはいえ一か月でここまで調査したということにまず驚嘆である。
各記事では会社の登記などの公の事実と関係者からの聞き取りといった情報に加え、著者の大胆な推論が展開されている。例えば越山会へ一回だけ献金したことのある企業をリストアップして、同時期にその業界が有利になる(または不利を免れる)ような政策決定がなされた事実を合わせ、関係者にあたるうちに、田中の集金手法をあぶりだす。それは見返りを期待してなされる自発的なものだけではなく、業界に不利な政策を打ち上げ要求する恐喝型政治献金であった。
金権政治のメカニズムの一端を教えてくれる貴重な書物である。
これを書くことで、身の危険や嫌がらせ、名誉毀損で訴えられることも著者は当然考えた。そのときの腹の括り方もすごい。
「暴力沙汰というのは、要するに、肉体的苦痛を我慢すればすむことだし、(中略)ほかにいくらも食う道はあると思っていたから、さして心配はしなかった。あと名誉棄損の場合は先に述べたようにせいぜい三年の監獄入りですむことなのだ。」
政治を情で捉えない手法に拍手
(2005-06-06)
政治といえばとかく情で語られる事が多いが、田中角栄が行ってきた事を科学的手法を駆使して、証拠を積み上げ、そこから「これ以外に真実はあり得ない」と感じざるを得ない推論へ落とし込む手腕に、若手ジャーナリスト(当時)の躍動感を感じる。田中角栄が政治の世界でどのような活躍をしたのか、その実績はどうだったのか、などはいくらでも他の本から知る事が出来る。それとは正反対の暗部を、これほど論理的にさらけ出したのは本書が最初であろう。
先入観と想像力のたくましい人
(2004-12-19)
ロッキード事件のみならず、この著者は事実無根のものを勝手に想像し、あたかも自分が見つけた真実のように書き散らす。そしてメディアの力で多くの読者を信じさせてしまう。
俎上に上がった者をたたくのは簡単だが、ウソを書いてしまうと、またそのウソをウソでカモフラージュする事になる。
おそらく一生訂正しないんだろう。
当時を知らない読者の方には、身内が書いた 木村 喜助 (著)「田中角栄の真実―弁護人から見たロッキード事件」、早坂 茂三 (著) 「怨念の系譜」などを一通り読んでから、判断してもらいたい。
「田中」と書けばとりあえず売れた時代
(2004-10-10)
本書は佐藤昭子氏による「決定版私の田中角栄日記(新潮)」とあわせてお読み頂きたい。角栄が国政の長として日本国民の生活を少しでも楽に豊かにしようと邁進努力し、ソ連・中国・アメリカ等とも対等関係を構築しつつある中、一人の功名心にはやる自称ジャーナリストの手になるのが本書である。当時は新聞・雑誌等も「田中」と書けば部数が伸びる時代であった。拝金主義者の功名心と、内外の陰謀が見事にタッグを組み、田中は志半ばにして退陣を余儀なくされた。事の真偽はここでは述べないが、それによって日本の国益やアイデンティティがいかに損なわれたかは今の政治を見れば一目瞭然である。田中角栄は確かに清らかな部分ばかりではないが、その事業は必ずや再評価されるであろう。同時に、己の功名心で将来的な国益を損なわせた人物に対する再評価も必ずしなければならない。何を書くのも自由だが、書いた事には一生涯責任を持つことを著者には要求してやまない。そして、ジャーナリストを志す方々には、決して著者がお手本でないことを願ってやまない。
田中角栄を退陣に追いやったニュージャーナリズムの金字塔
(2002-09-19)
田中角栄という今太閤といわれた人気絶頂の総理大臣の金脈を追求し、退陣に追いやった歴史的な書物であり、著者と時の総理との壮絶な戦いの記録でもある。立花隆の田中角栄に関連して書かれた作品は、この作品から出発し、新金脈追求、ロッキード裁判傍聴記、論駁、そして最近の「田中真紀子」研究に至る。一民間人というには恐れ多いが、たった一人で最高権力に立ち向かう立花さんの姿は神々しくさえ映る。金脈を追求してゆく道具は、主に新聞などに書かれた記事を丹念にクロスチェックしてゆく作業だったと語られているのにも驚いた。昭和の出版物の中で、最も重要な作品の1つとしてこれからも読み継がれていく日本のジャーナリズムの最高峰にして金字塔である。
おすすめ度:
調査に基づいた大胆な推論がすごい
田中角栄の人脈、関連会社、金の流れを徹底的に調査して書き上げた「田中角栄研究-その金脈と人脈」他、これに続けて著者が雑誌に発表したものと著者自身による解説が収められている。
立花隆は取材チームの報告をもとに隠された事実を推論し、更なる調査の指示を出していく。20名のチームとはいえ一か月でここまで調査したということにまず驚嘆である。
各記事では会社の登記などの公の事実と関係者からの聞き取りといった情報に加え、著者の大胆な推論が展開されている。例えば越山会へ一回だけ献金したことのある企業をリストアップして、同時期にその業界が有利になる(または不利を免れる)ような政策決定がなされた事実を合わせ、関係者にあたるうちに、田中の集金手法をあぶりだす。それは見返りを期待してなされる自発的なものだけではなく、業界に不利な政策を打ち上げ要求する恐喝型政治献金であった。
金権政治のメカニズムの一端を教えてくれる貴重な書物である。
これを書くことで、身の危険や嫌がらせ、名誉毀損で訴えられることも著者は当然考えた。そのときの腹の括り方もすごい。
「暴力沙汰というのは、要するに、肉体的苦痛を我慢すればすむことだし、(中略)ほかにいくらも食う道はあると思っていたから、さして心配はしなかった。あと名誉棄損の場合は先に述べたようにせいぜい三年の監獄入りですむことなのだ。」
政治を情で捉えない手法に拍手
政治といえばとかく情で語られる事が多いが、田中角栄が行ってきた事を科学的手法を駆使して、証拠を積み上げ、そこから「これ以外に真実はあり得ない」と感じざるを得ない推論へ落とし込む手腕に、若手ジャーナリスト(当時)の躍動感を感じる。田中角栄が政治の世界でどのような活躍をしたのか、その実績はどうだったのか、などはいくらでも他の本から知る事が出来る。それとは正反対の暗部を、これほど論理的にさらけ出したのは本書が最初であろう。
先入観と想像力のたくましい人
ロッキード事件のみならず、この著者は事実無根のものを勝手に想像し、あたかも自分が見つけた真実のように書き散らす。そしてメディアの力で多くの読者を信じさせてしまう。
俎上に上がった者をたたくのは簡単だが、ウソを書いてしまうと、またそのウソをウソでカモフラージュする事になる。
おそらく一生訂正しないんだろう。
当時を知らない読者の方には、身内が書いた 木村 喜助 (著)「田中角栄の真実―弁護人から見たロッキード事件」、早坂 茂三 (著) 「怨念の系譜」などを一通り読んでから、判断してもらいたい。
「田中」と書けばとりあえず売れた時代
本書は佐藤昭子氏による「決定版私の田中角栄日記(新潮)」とあわせてお読み頂きたい。角栄が国政の長として日本国民の生活を少しでも楽に豊かにしようと邁進努力し、ソ連・中国・アメリカ等とも対等関係を構築しつつある中、一人の功名心にはやる自称ジャーナリストの手になるのが本書である。当時は新聞・雑誌等も「田中」と書けば部数が伸びる時代であった。拝金主義者の功名心と、内外の陰謀が見事にタッグを組み、田中は志半ばにして退陣を余儀なくされた。事の真偽はここでは述べないが、それによって日本の国益やアイデンティティがいかに損なわれたかは今の政治を見れば一目瞭然である。田中角栄は確かに清らかな部分ばかりではないが、その事業は必ずや再評価されるであろう。同時に、己の功名心で将来的な国益を損なわせた人物に対する再評価も必ずしなければならない。何を書くのも自由だが、書いた事には一生涯責任を持つことを著者には要求してやまない。そして、ジャーナリストを志す方々には、決して著者がお手本でないことを願ってやまない。
田中角栄を退陣に追いやったニュージャーナリズムの金字塔
田中角栄という今太閤といわれた人気絶頂の総理大臣の金脈を追求し、退陣に追いやった歴史的な書物であり、著者と時の総理との壮絶な戦いの記録でもある。立花隆の田中角栄に関連して書かれた作品は、この作品から出発し、新金脈追求、ロッキード裁判傍聴記、論駁、そして最近の「田中真紀子」研究に至る。一民間人というには恐れ多いが、たった一人で最高権力に立ち向かう立花さんの姿は神々しくさえ映る。金脈を追求してゆく道具は、主に新聞などに書かれた記事を丹念にクロスチェックしてゆく作業だったと語られているのにも驚いた。昭和の出版物の中で、最も重要な作品の1つとしてこれからも読み継がれていく日本のジャーナリズムの最高峰にして金字塔である。
>>>詳しくは田中角栄研究―全記録 (上) (講談社文庫)
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