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紅一点論―アニメ・特撮・伝記のヒロイン像 (ちくま文庫)
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カスタマーレビュー
おすすめ度:
驚き
(2008-10-31)
アニメ・特撮・子供向けの伝記がこんなにも男性社会に基づいて構成されていたとは。
アニメのヒロインは虚構だなあ、くらいには思っていたが、
ヒロインの性格、周囲の環境、役割に至るまで、これほど細部にわたって男にとって都合よく作られていたのは驚きです。
「女の子らしい」女の子は嫌いですか?
(2008-09-27)
斎藤美奈子本の中では珍しく群を抜いてつまらない。
彼女自身にならって、このつまらなさの理由はなにか
考えながら読んでいた。
物語が類型に他ならず、男支配社会(笑)という視点
を前提にするなら、ここで指摘されている物語の紋切
り型はあたりまえすぎる。
単に「だから物語なのだ」という感想しか持ちようが
ない。
それでも気をとりなおして斎藤美奈子の芸をどこかで
味わえるだろうと読み進める。が、最後までこの調子。
まあ、それもたまにはありかなとはおもう。
著者もたまには曲芸ぬきで擬似フェミ文体を試してみ
たいときもあるだろうし。
しかし、やっぱりつまらない。
どうも、(もともと著者にはそういう傾向があるのだ
けれと)「今」のリアリティを基準に、対象をそこへ
いちいち割り引いてみせるそのやり方のいかがわしさ
それがあまりに前面にでてしまっているからじゃない
かとおもえる。
その基準は誰のだ?という根本はおいとくとしても。
現実にはない理想点を基準に行われる評論のDCF法
とでもいうんでしょうか。。。
その理想点が基本的に宗教的、政治的な「信念」でし
かない以上、あまりに直接的に前面にでてしまうと、
夢を共有しえないものが興ざめするのはあたりまえ。
関心のない新興宗教の経典読んでるのとおなじだから。
そういうつまらなさなんだと思う。
金のとれる仕事の多寡や内容の重要度で、存在性の尊卑を
計量する思考も中間管理職みたいでつまらないし、
「森雪」性、「魔法少女」性は、本書で整理されているほ
どに物語が量産されながらも、現実はというと、昔からや
はり希少価値。
同性からは嫌われるというこれまた物語をともないつつも、
多分これからも希求されつづけるでしょう。
本書のなかで高校野球のマネージャに応募する女子高生の
心性を(冗談まじりだろうが)くさすくだりがあるが、
これなんかかつて大江健三郎が同世代の自衛官に吐いた
侮辱表現に近いものを感じて、正直著者もカルトなのかな?
とすこしがっかりした。
「評論」の概念が変わりました
(2008-06-07)
この本に出会ったのは、社会人学生をしていた時で、ジェンダーに関する授業で先生が持ってきた資料の一つでした。「男の子の国」と「女の子の国」のモデルケースの比較表やヒロインのタイプ分けなどが明快に、わかりやすく、そして本当に納得できるよう分類されていた点に目からウロコ状態になりました。
その後文庫本を購入して全部読みましたが、なんといっても読みやすい! 作者の感覚(視点、言葉)が読者よりになっており、理解しやすいことこのうえなし。
こんな身近なところから違う視点で物事を見ていくと、こんなに楽しいものかと感心させられます。
尚、この本ではアニメの出来不出来や良不良は全く問題外で、ヒロインの扱われ方一本に絞っています。大学の授業の時、「この本に書かれていることには納得できない。もののけ姫は素晴らしい作品だ!」と怒っていたオタクの方がいましたが、そういうタイプの方はこの本の真の面白さがわからないだろうなーとも思います。
評論というと難解なイメージがあり、あまり読んでこなかった人にも、オススメの一冊です。
実は彼女自身もクインビー症候群では・・・
(2008-02-17)
以前読んだ小谷野敦の本の中に斎藤美奈子氏の評が載っていて、彼女のデビュー作『妊娠小説』はその見事な切り口と評論が評価できたが、
この『紅一点論』に関してはその前作の焼き回し感が否めなかったということを彼は論じている。実際に「妊娠小説」を読んだあとにこの
「紅一点論」を読むと、確かに論じていることの迫力は同じかそれより劣るだろう。でもこの違いは取り扱ったテーマの違いから来ていると
思う。なんたって前者は妊娠と中絶という少々デリケートなことがらをあつかった小説についての評論であって、後者は所詮はアニメや伝記
といった子ども文化についてだからね。そのような題材の違いを加味するとそれほどまでに前作と違いはないのではないだろうか。
さて内容だけれども、日本の少年少女のアニメ・マンガ文化を「男の子の国」と「女の子の国」に分けて論じた彼女のその作品分析はす
るどい。また宮崎駿の作品を「未来少年コナン」→「ナウシカ」→「もののけ姫」という順で登場する女性像の変遷の分析も秀逸だ。
また各偉人の伝記の読書案内も綿密、さすが「趣味は読書」の人。
斎藤美奈子の評論本の魅力は、一見フェミ本でありながらも、かつフェミ本に収まらないその内容のバラエティーさにあると思う。大衆文化
に潜む男根主義を暴くだけのそんじょそこらの作品評論ならば、ただのフェミ本なのだけれど、彼女独特の軽妙な文体と対象となる作品を
「抱腹絶倒のエンターテイメント」に読み替えることで読者を楽しませようとするサービス精神は、ただのフェミ本にはない魅力がある。
しかし、そんな彼女のスタイルは諸刃の剣の側面もある。この本もそうであるが、「で、結局どうすればいいの?」ということが明確に見え
てこないのである。もし仮に、彼女が結語の部分で具体的な改善策などを論じだしたらどうだろう。それをするのは、そこまでもってきた彼
女の軽妙なスタイルとそぐわない―今風にいえばキャラが合わない―のである。だから、彼女もあえてそれはせずに、当たり障りのない結論
しか書かないので、結局「面白おかしく作品を評論してもらった」という印象しか読後には残らないのである。
文庫版の解説で姫野カオルコが、斎藤美奈子がなぜ性差に焦点を当てるかということについて、「あえて性差というカメラアイを設けて、
アニメと伝記のグラフィティをたのしむ」(p328)ためだと論じているが、それは理解が少々浅いだろう。本文とあとがきを読むと、やはり
斎藤自身は男性像と女性像の新しいモデルが生まれることを、「真剣に」望んでいるのではないだろうか。
皮肉な話ではあるが、彼女がその性差についてさらにつっこんで論じたくても、今度はその彼女自身の魅力的な文体が足を引っ張るのである。
いやはや困ったものである。
これ、斎藤美奈子?
(2006-12-24)
斎藤氏の評論の魅力って 『氏独自の鋭い視点からズバズバと切り込んで、しかもめっちゃ面白い!』という所にあると思います。(使い古された表現ですが・・・)
その魅力は、対象となる作品は勿論のこと、その周辺の文献・資料も徹底的に読み込んで、ガッツリ考えたからこそ出来たものなんじゃないですか。つまり、かなりの手間をかけて出来た訳でしょう。そして評論をする以上、この手間をかけてナンボでしょう。
でも、この本にはそういう“熱“が感じられない。一例をあげるならアニメ『少女革命ウテナ』。氏は間違いなく本作品は見ていないですね。(文章からそれが読み取れるし、もし見ていての記述ならガッカリ度5割増)
「アニメとフェミニズム」を論じるうえで、この作品を詳しく論じないのはセンスが悪すぎです。だって、氏の批判するアニメの価値観や世界観をひっくり返した(というか、んなもんに捕われているんじゃねーと言っている)アニメなんだから・・・。
狭いオタク的見地や閉鎖性を排除した評論ではなく、単に手抜きした評論にしか見えませんでした。『文壇アイドル論』や『文章読本さん江』にかけた労力を10とすると、この本にかけた労力は2〜3ってところじゃないでしょうか。
あくまで憶測ですが・・・。
この本は斎藤美奈子作品の汚点になると思います。斎藤作品の大ファンなだけに(この作品以外には全て☆5つけたい)非常に残念でした。
おすすめ度:
驚き
アニメ・特撮・子供向けの伝記がこんなにも男性社会に基づいて構成されていたとは。
アニメのヒロインは虚構だなあ、くらいには思っていたが、
ヒロインの性格、周囲の環境、役割に至るまで、これほど細部にわたって男にとって都合よく作られていたのは驚きです。
「女の子らしい」女の子は嫌いですか?
斎藤美奈子本の中では珍しく群を抜いてつまらない。
彼女自身にならって、このつまらなさの理由はなにか
考えながら読んでいた。
物語が類型に他ならず、男支配社会(笑)という視点
を前提にするなら、ここで指摘されている物語の紋切
り型はあたりまえすぎる。
単に「だから物語なのだ」という感想しか持ちようが
ない。
それでも気をとりなおして斎藤美奈子の芸をどこかで
味わえるだろうと読み進める。が、最後までこの調子。
まあ、それもたまにはありかなとはおもう。
著者もたまには曲芸ぬきで擬似フェミ文体を試してみ
たいときもあるだろうし。
しかし、やっぱりつまらない。
どうも、(もともと著者にはそういう傾向があるのだ
けれと)「今」のリアリティを基準に、対象をそこへ
いちいち割り引いてみせるそのやり方のいかがわしさ
それがあまりに前面にでてしまっているからじゃない
かとおもえる。
その基準は誰のだ?という根本はおいとくとしても。
現実にはない理想点を基準に行われる評論のDCF法
とでもいうんでしょうか。。。
その理想点が基本的に宗教的、政治的な「信念」でし
かない以上、あまりに直接的に前面にでてしまうと、
夢を共有しえないものが興ざめするのはあたりまえ。
関心のない新興宗教の経典読んでるのとおなじだから。
そういうつまらなさなんだと思う。
金のとれる仕事の多寡や内容の重要度で、存在性の尊卑を
計量する思考も中間管理職みたいでつまらないし、
「森雪」性、「魔法少女」性は、本書で整理されているほ
どに物語が量産されながらも、現実はというと、昔からや
はり希少価値。
同性からは嫌われるというこれまた物語をともないつつも、
多分これからも希求されつづけるでしょう。
本書のなかで高校野球のマネージャに応募する女子高生の
心性を(冗談まじりだろうが)くさすくだりがあるが、
これなんかかつて大江健三郎が同世代の自衛官に吐いた
侮辱表現に近いものを感じて、正直著者もカルトなのかな?
とすこしがっかりした。
「評論」の概念が変わりました
この本に出会ったのは、社会人学生をしていた時で、ジェンダーに関する授業で先生が持ってきた資料の一つでした。「男の子の国」と「女の子の国」のモデルケースの比較表やヒロインのタイプ分けなどが明快に、わかりやすく、そして本当に納得できるよう分類されていた点に目からウロコ状態になりました。
その後文庫本を購入して全部読みましたが、なんといっても読みやすい! 作者の感覚(視点、言葉)が読者よりになっており、理解しやすいことこのうえなし。
こんな身近なところから違う視点で物事を見ていくと、こんなに楽しいものかと感心させられます。
尚、この本ではアニメの出来不出来や良不良は全く問題外で、ヒロインの扱われ方一本に絞っています。大学の授業の時、「この本に書かれていることには納得できない。もののけ姫は素晴らしい作品だ!」と怒っていたオタクの方がいましたが、そういうタイプの方はこの本の真の面白さがわからないだろうなーとも思います。
評論というと難解なイメージがあり、あまり読んでこなかった人にも、オススメの一冊です。
実は彼女自身もクインビー症候群では・・・
以前読んだ小谷野敦の本の中に斎藤美奈子氏の評が載っていて、彼女のデビュー作『妊娠小説』はその見事な切り口と評論が評価できたが、
この『紅一点論』に関してはその前作の焼き回し感が否めなかったということを彼は論じている。実際に「妊娠小説」を読んだあとにこの
「紅一点論」を読むと、確かに論じていることの迫力は同じかそれより劣るだろう。でもこの違いは取り扱ったテーマの違いから来ていると
思う。なんたって前者は妊娠と中絶という少々デリケートなことがらをあつかった小説についての評論であって、後者は所詮はアニメや伝記
といった子ども文化についてだからね。そのような題材の違いを加味するとそれほどまでに前作と違いはないのではないだろうか。
さて内容だけれども、日本の少年少女のアニメ・マンガ文化を「男の子の国」と「女の子の国」に分けて論じた彼女のその作品分析はす
るどい。また宮崎駿の作品を「未来少年コナン」→「ナウシカ」→「もののけ姫」という順で登場する女性像の変遷の分析も秀逸だ。
また各偉人の伝記の読書案内も綿密、さすが「趣味は読書」の人。
斎藤美奈子の評論本の魅力は、一見フェミ本でありながらも、かつフェミ本に収まらないその内容のバラエティーさにあると思う。大衆文化
に潜む男根主義を暴くだけのそんじょそこらの作品評論ならば、ただのフェミ本なのだけれど、彼女独特の軽妙な文体と対象となる作品を
「抱腹絶倒のエンターテイメント」に読み替えることで読者を楽しませようとするサービス精神は、ただのフェミ本にはない魅力がある。
しかし、そんな彼女のスタイルは諸刃の剣の側面もある。この本もそうであるが、「で、結局どうすればいいの?」ということが明確に見え
てこないのである。もし仮に、彼女が結語の部分で具体的な改善策などを論じだしたらどうだろう。それをするのは、そこまでもってきた彼
女の軽妙なスタイルとそぐわない―今風にいえばキャラが合わない―のである。だから、彼女もあえてそれはせずに、当たり障りのない結論
しか書かないので、結局「面白おかしく作品を評論してもらった」という印象しか読後には残らないのである。
文庫版の解説で姫野カオルコが、斎藤美奈子がなぜ性差に焦点を当てるかということについて、「あえて性差というカメラアイを設けて、
アニメと伝記のグラフィティをたのしむ」(p328)ためだと論じているが、それは理解が少々浅いだろう。本文とあとがきを読むと、やはり
斎藤自身は男性像と女性像の新しいモデルが生まれることを、「真剣に」望んでいるのではないだろうか。
皮肉な話ではあるが、彼女がその性差についてさらにつっこんで論じたくても、今度はその彼女自身の魅力的な文体が足を引っ張るのである。
いやはや困ったものである。
これ、斎藤美奈子?
斎藤氏の評論の魅力って 『氏独自の鋭い視点からズバズバと切り込んで、しかもめっちゃ面白い!』という所にあると思います。(使い古された表現ですが・・・)
その魅力は、対象となる作品は勿論のこと、その周辺の文献・資料も徹底的に読み込んで、ガッツリ考えたからこそ出来たものなんじゃないですか。つまり、かなりの手間をかけて出来た訳でしょう。そして評論をする以上、この手間をかけてナンボでしょう。
でも、この本にはそういう“熱“が感じられない。一例をあげるならアニメ『少女革命ウテナ』。氏は間違いなく本作品は見ていないですね。(文章からそれが読み取れるし、もし見ていての記述ならガッカリ度5割増)
「アニメとフェミニズム」を論じるうえで、この作品を詳しく論じないのはセンスが悪すぎです。だって、氏の批判するアニメの価値観や世界観をひっくり返した(というか、んなもんに捕われているんじゃねーと言っている)アニメなんだから・・・。
狭いオタク的見地や閉鎖性を排除した評論ではなく、単に手抜きした評論にしか見えませんでした。『文壇アイドル論』や『文章読本さん江』にかけた労力を10とすると、この本にかけた労力は2〜3ってところじゃないでしょうか。
あくまで憶測ですが・・・。
この本は斎藤美奈子作品の汚点になると思います。斎藤作品の大ファンなだけに(この作品以外には全て☆5つけたい)非常に残念でした。
>>>詳しくは紅一点論―アニメ・特撮・伝記のヒロイン像 (ちくま文庫)
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