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野口悠紀雄の「超」経済脳で考える
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カスタマーレビュー
おすすめ度:
飲み代に使ってしまっているダンナ
(2008-08-12)
「経済学的なものの考え方」を身に付ける本として秀逸。
レビューでいろいろ批判されているが、経済学理論によれば「こうなりますよ」と言っているに過ぎず、読者はそれを真に受けて、「コールドハート」だとかいっても仕方ない。読者に考えさせるたえわざと極論を結論ぽく書いている気がした。
例えば、「国債の発行は、国内で消化されている限り、家計での夫婦間での貸し借りのようなものなので問題ない」と結論ぽく書いてあるが、よく読むと、「妻から借りた金をダンナが飲み代に浪費しない限りは」という下りがある。
そう、今問題は、道路特別財源のように、お金があるからと意味の無い無駄遣いがされる一方、全体として税収不足な点にある。
なお、「小さな企業のほうが効率的」と「資本金が大きくないと信用できない」は全く矛盾してない。「小さな企業」とは文脈から、大企業に対する中堅企業のことを指している。
「資本金が大きくないと・・・」については最低資本金制度廃止(いわゆる「一円起業制度」)の文脈でなので、せめて300万円、1000万円の資本金がなくて、どうやって会社運営をするのですか?という話だ。
こういう正論がまともに読解もされず、表面だけ読まれて切り捨てられるようだと日本の将来は暗い。
「経済学の思考ルールの解説書」を装った野口理論 鵜呑みは禁物
(2008-03-02)
そもそも経済学は、複雑怪奇な現実世界の事象を「単純化して突き詰める」学問であるため、現実世界と経済学の世界との間には常にギャップが存在することを考慮しなければならない。そうした経済学の基本ルールを解説した書としては、これまでにも「経済学思考の技術」(飯田泰之著)などがあったが、本書は、かの『「超」整理法』でお馴染みの野口氏によるもの。一般人が経済学および経済学者・エコノミストに期待しがちな「経済学で金持ちになれるのか?」「経済学で未来を予測できるのか?」といった俗論に対して、理論的にノーを突きつける様は読んでいてためになる。
しかし、単なる「経済学思考の解説」で終わらないのが野口氏の真骨頂(?)。章が進むに連れて、自身の構造改革論を経済学的に立証する内容とへとだんだん変容して行く。例えば、比較優位(役割を分業化・専門化すれば効率が増すという理論)を用いて「食料は自給せず全て輸入で賄った方が効率的」「石油も中東で買った方が効率的」とする主張には、リスクマネジメント観が著しく欠如している。「ビジネスなんだから顧客へ売り惜しみはしまい」って、どんだけ性善説に立ってるんだか。この他にも、「企業規模は小さい方が機動的」と言ったそばから「資本金の小さい企業は信用できない」と続けるなど、支離滅裂な主張が散見される。その一方で、「『貯蓄から投資へ』はまず企業が実践しろ」「法人税減税は経済活性化には繋がらない」など秀逸な論があり、内容はまさに玉石混合。
本書の冒頭で「7人のエコノミストがいれば、8つの異なる答がある」「経済学者の答えは極めて正確だが、その答えはまったく役に立たない」というジョークが紹介されているが、他ならぬ著者自身がその罠に陥っている。まあ、そんな著者の道化ぶりを含めて「これが経済学というものか」と学ぶには格好の入門書と言えよう(汗)。
クールヘッド、アイスハート(?)
(2008-02-15)
意外な視点を語りの芸で読ませることに長けた野口悠紀雄の文章は、巧妙だ。
案の定、野口の書くものにはファンも多く、手帖術から整理法、旅行術に定年後のノウハウ、英語習得法にカバン選びまでとにかくサラリーマン(ほとんど男だろう、この手のノウハウに膝を打つのは)の心理や機微を巧みに突いて来る。かくいう評者も『超整理日誌』のシリーズは愛読していた。
かくして本書。1940年体制と呼ばれる経済体制が今日まで生きながらへ、それが産業構造との齟齬を来たしているのが現在の危機の大元であるという所論のもと、経済イシューを捌いていく。しかし、本書には【読み方注意】を要する。
比較優位説に立つなら、食糧自給率は低ければ低いほど安全だ等々の野口節は、流石新古典派の理論家! 地産地消などは鼻にも引っ掛けない。我々サラリーピープル(これには女性も含まれるだろう)は、経済学の内実を知らな過ぎるのである。こういう物言いに感動してはいけない。少なくとも、近代経済学の分析自体が、大いなるバイアスの掛かったものであることを常に意識してかからないと、本書に洗脳された「経済脳」はクールかもしれないがウォームハートは微塵も養われないだろう。最早手遅れの感も強いが・・・。
7人のエコノミストがいれば、8つの異なる答がある
(2007-11-13)
難しいお話しの経済を論じる学者は掃いて捨てるほどいるだろう。正しい予見を述べるエコノミストを少なからず存在しているはずだ。でも、正統な論理で現状認識と予見を披露し、かつ素人にも分かる言葉で語れる経済学者は少ない。
その上、われわれ現場のサラリーマンの知的欲求を満たして、知的予見という道具まで与えてくれる人といったら野口悠紀雄、伊藤元重、変わり種では大竹慎一をあげたい。
当たり前のことを当たり前のことと語っているのだが、この世はいかに当たり前でない事象で満ちあふれているのかが分かる本だ。
よく国債大量発行による財政赤字を家計の借金にたとえて大変だ大変だとするエコノミストが多い。この誤りを夫婦間での借金に喩えて正に論理として語っている。賢明なる諸兄は一読あれ。
おすすめ度:
飲み代に使ってしまっているダンナ
「経済学的なものの考え方」を身に付ける本として秀逸。
レビューでいろいろ批判されているが、経済学理論によれば「こうなりますよ」と言っているに過ぎず、読者はそれを真に受けて、「コールドハート」だとかいっても仕方ない。読者に考えさせるたえわざと極論を結論ぽく書いている気がした。
例えば、「国債の発行は、国内で消化されている限り、家計での夫婦間での貸し借りのようなものなので問題ない」と結論ぽく書いてあるが、よく読むと、「妻から借りた金をダンナが飲み代に浪費しない限りは」という下りがある。
そう、今問題は、道路特別財源のように、お金があるからと意味の無い無駄遣いがされる一方、全体として税収不足な点にある。
なお、「小さな企業のほうが効率的」と「資本金が大きくないと信用できない」は全く矛盾してない。「小さな企業」とは文脈から、大企業に対する中堅企業のことを指している。
「資本金が大きくないと・・・」については最低資本金制度廃止(いわゆる「一円起業制度」)の文脈でなので、せめて300万円、1000万円の資本金がなくて、どうやって会社運営をするのですか?という話だ。
こういう正論がまともに読解もされず、表面だけ読まれて切り捨てられるようだと日本の将来は暗い。
「経済学の思考ルールの解説書」を装った野口理論 鵜呑みは禁物
そもそも経済学は、複雑怪奇な現実世界の事象を「単純化して突き詰める」学問であるため、現実世界と経済学の世界との間には常にギャップが存在することを考慮しなければならない。そうした経済学の基本ルールを解説した書としては、これまでにも「経済学思考の技術」(飯田泰之著)などがあったが、本書は、かの『「超」整理法』でお馴染みの野口氏によるもの。一般人が経済学および経済学者・エコノミストに期待しがちな「経済学で金持ちになれるのか?」「経済学で未来を予測できるのか?」といった俗論に対して、理論的にノーを突きつける様は読んでいてためになる。
しかし、単なる「経済学思考の解説」で終わらないのが野口氏の真骨頂(?)。章が進むに連れて、自身の構造改革論を経済学的に立証する内容とへとだんだん変容して行く。例えば、比較優位(役割を分業化・専門化すれば効率が増すという理論)を用いて「食料は自給せず全て輸入で賄った方が効率的」「石油も中東で買った方が効率的」とする主張には、リスクマネジメント観が著しく欠如している。「ビジネスなんだから顧客へ売り惜しみはしまい」って、どんだけ性善説に立ってるんだか。この他にも、「企業規模は小さい方が機動的」と言ったそばから「資本金の小さい企業は信用できない」と続けるなど、支離滅裂な主張が散見される。その一方で、「『貯蓄から投資へ』はまず企業が実践しろ」「法人税減税は経済活性化には繋がらない」など秀逸な論があり、内容はまさに玉石混合。
本書の冒頭で「7人のエコノミストがいれば、8つの異なる答がある」「経済学者の答えは極めて正確だが、その答えはまったく役に立たない」というジョークが紹介されているが、他ならぬ著者自身がその罠に陥っている。まあ、そんな著者の道化ぶりを含めて「これが経済学というものか」と学ぶには格好の入門書と言えよう(汗)。
クールヘッド、アイスハート(?)
意外な視点を語りの芸で読ませることに長けた野口悠紀雄の文章は、巧妙だ。
案の定、野口の書くものにはファンも多く、手帖術から整理法、旅行術に定年後のノウハウ、英語習得法にカバン選びまでとにかくサラリーマン(ほとんど男だろう、この手のノウハウに膝を打つのは)の心理や機微を巧みに突いて来る。かくいう評者も『超整理日誌』のシリーズは愛読していた。
かくして本書。1940年体制と呼ばれる経済体制が今日まで生きながらへ、それが産業構造との齟齬を来たしているのが現在の危機の大元であるという所論のもと、経済イシューを捌いていく。しかし、本書には【読み方注意】を要する。
比較優位説に立つなら、食糧自給率は低ければ低いほど安全だ等々の野口節は、流石新古典派の理論家! 地産地消などは鼻にも引っ掛けない。我々サラリーピープル(これには女性も含まれるだろう)は、経済学の内実を知らな過ぎるのである。こういう物言いに感動してはいけない。少なくとも、近代経済学の分析自体が、大いなるバイアスの掛かったものであることを常に意識してかからないと、本書に洗脳された「経済脳」はクールかもしれないがウォームハートは微塵も養われないだろう。最早手遅れの感も強いが・・・。
7人のエコノミストがいれば、8つの異なる答がある
難しいお話しの経済を論じる学者は掃いて捨てるほどいるだろう。正しい予見を述べるエコノミストを少なからず存在しているはずだ。でも、正統な論理で現状認識と予見を披露し、かつ素人にも分かる言葉で語れる経済学者は少ない。
その上、われわれ現場のサラリーマンの知的欲求を満たして、知的予見という道具まで与えてくれる人といったら野口悠紀雄、伊藤元重、変わり種では大竹慎一をあげたい。
当たり前のことを当たり前のことと語っているのだが、この世はいかに当たり前でない事象で満ちあふれているのかが分かる本だ。
よく国債大量発行による財政赤字を家計の借金にたとえて大変だ大変だとするエコノミストが多い。この誤りを夫婦間での借金に喩えて正に論理として語っている。賢明なる諸兄は一読あれ。
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